極楽蝶華
いい人だ。
俺達は薔薇庭園を後にして歩き出した。
『あ、紹介遅れました。俺藤堂悠紀仁って言います。よろしくお願いします。』
「俺は琉崎猛(リュウザキタケル)。こちらこそよろしく。」
あー……あっちの琉崎とは全然違う。なんつーか雰囲気が。笑顔も爽やかだ
【この世には似た顔の人間が三人はいる】っつーけど性格までは似ないんだなぁー。とかしみじみ考えていたら突然話し掛けられた。
「なぁ。」
『ふぇ?』
ちょうど、カツラに絡み付いた薔薇の枯れ枝が取れなくてムキになっていたので、突然のことに変な声が出た。
「悠紀仁って呼び捨てでいいか?」
『あーもー全然。こっちは琉崎先輩でいいですか?』
「下の名前で。」
『猛先輩、ですか?』
「いや、呼び捨てで。後、敬語も取ってよ。」
『……いえ、琉崎さん俺より年上ですよね?ちょっと抵抗あるんですけど。』
この学園の人は(以下略
なぜに呼び名にこだわるんだ??
「……じゃあ【さん】付けでいいから下の名前で呼べよ。敬語はもっと仲良くなったら取ってな。」
『はぁーい。わかりましたぁー。』
あ、やっと取れた。小枝。
『そう言えばあの庭園って誰が持ち主なんですか?』
「ん?俺だよ?」
『いつも何してるんですか?』
奇麗な場所ではあるが。
所有化するには何か理由があるに違いない。
「あぁ。あそこの奥にテラスみたいな場所があってね。昼寝に丁度良いんだよ。
俺専用、みたいになってるから一般の生徒は近寄って来ないから、静かでお気に入り。
けど……悠紀仁なら、いつでも来ていいよ。」
『あー、あそこで昼寝とか気持ち良さそうですねぇー。じゃあ授業さぼるときはお邪魔させてもらいます。』
緑に囲まれて昼寝か。リッチだなぁー。いいなぁー。
今度絶対行こぉー。
ゴミを全部取り切ったカツラをちょっと整えて頭に被った。
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