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極楽蝶華
あれ?幻覚が……
 
「そーゆーこと言ってんじゃねぇの俺わぁ!!」



>す……げ……

先ほど繰り広げられた攻防に今更ながら目を見開いた。


二人とも、あれほど激しい動きをしながら……片手に、グラスを持ったままだった。


……次元が、違う……



それに、実際二人が言ってる
【手加減した】
は悠紀仁の怒りを削減する試みなんかじゃ無く本当の事だったりするから彰君にとっては尚更びっくりだろう。


圭介が本気だったら一撃目は俊の後頭部だったし、俊がマジ切れしていたら膝蹴りを埋めたのは腹ではなく鼻っ面だった筈だ。



「え……何で?俺ちゃんと手加減したよ?」


「……悠紀仁、何が不満なんだよ。」



と、ここで何故自分達が怒られてるか分からない馬鹿ども。



「手加減とか、そうじゃねぇっつってんだろ!!
俺はな、レオが逆切れした事と少し突かれて平気で喧嘩受けた俊に怒ってんだよ!!」



正論だ。

全くの正論だ。



が、このお二人には予想だにしなかった叱責の言葉だったらしく両方とも目を見開く。


「は……??
つか、獅子緒が先に手ぇ出して来やがったんだろーが」

「フッ……ザケンなよ
テメェこそ過ぎたこといつまでもぐちぐち!!」



また掴みかかろうとしてた圭介。
俊が、胸倉に掛かる手に挑発的に唇を歪ませる。



「レオおすわりぃ!!」


「は……はいッ」



ぱ、とスグに手を離してその場に……正座。


正座。




『…………え?』


何。

何何何。



あの獅子緒先輩が……人に怒られて……


殊勝にも、正座。 





「ヒャヒャヒャ……
何発ぐれぇ、意識あるかなぁ〜?」

とか言いながら頭をホールドした被害者の顔に数えながら膝を埋めていた獅子緒先輩が。


結局意識が飛んだ(7発目)もののカウントは止まらず、生徒に収拾を頼まれた教師が……呼んだ琉崎副会長により事件は収束。(仮にも教師なら自分でなんとかする姿勢を見せろ)





「ホントはぁ……、
100まで数えたかったんだけどな。あーぁ、もう飽きちまった。」


一通り副会長相手に暴れてすっとしたのか、最後にタルそうに……そう言い残して窓から飛び降りて去ってしまった獅子緒先輩が。



ちなみに38発まで数えてた獅子緒先輩が。


……あんな、うなだれて、申し訳なさそうに……




幻覚か?幻覚なのか?

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