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極楽蝶華
目の前一触即発
 





「……ッたく。
お前一体どんくらい荒れてたの?!」


「だ……だって……」




一通り周りからの告げ口を受けた圭介。


どうしたら機嫌がとれるかオロオロ。




一方こちら彰。


『な……なんで?なんで……?
キャラ、違う……怖い……』


目の前で繰り広げられる異世界にオタオタ。


目撃するのはこれで3回目だが耐性なんか出来るモンじゃない。
むしろ遭遇するたび胃に悪い。


「で、他に無い?!」


今までの所業を指折り数えてた悠紀仁が会長の方を見上げた。


そうそう……
そんな可愛い仕種はそちらの方達にやってね。



「あるよある……いっぺぇ、な。」

「ッ……テメ、何調子に乗ってんだよいい加減黙りやがれ!!」



が、と

圭介が俊の背中を狙って払い蹴りを放った。


それを下腕で受けて一歩下がり、足を戻す途中の体勢の崩れた胴体に俊が膝蹴りを埋める。

「……ッ、」


小さく呻いた圭介が無理矢理に大きく振り抜いた爪先が俊の後頭部を掠めて少し平行感覚を奪った。


そのまま後ろを向いて回し蹴りを撃った圭介の脚に、俊の上段蹴りがブチ当たって互いに弾かれる。



「……ッく……」

「……つぅ……」



衝撃は大したものだったらしく、二人の口からうめき声が漏れた。


次を放とうと身を入れ換えた瞬間……



「ハイもう終わりぃぃ!!」



「ぶっ!!」
「わっ?!」



その間に無理矢理割って入った悠紀仁が二人の顔に手を突っ張ってぐい、と遠ざけた。



「あぁもうホントお前ら血の気が多いんだから!!
ちっとはじっとしてろ!!」


ぎゃんぎゃん、とまくし立てる悠紀仁。



……ス、スゲ……ッ!!ι

あの二人の喧嘩……仲裁したぁっ?!


「大体、何!!
お前自分が悪いんだから八つ当たりしねぇの!!」

「え……え〜……でも、俺ちゃんと手加減したし……」

「ヲイコラ、ふざけんなよこっちの台詞だテメェ。」



……と、【持ったまま】だったグラスに口を付ける俊。


「……うっせぇーよ。俺の蹴りガードしたときにコーヒー零してたくせに。」



こちらも、【まだ】手の中の黒い液体から泡が浮かんでは消える小さな音がしている。

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あきゅろす。
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