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極楽蝶華
任命はカンベン
 




「あれ……?

……ねぇ、鈴峰。」


カップに口を付け、それを少し傾けて中身を改めた奈緒が何かを問い詰めるように彰に話し掛けた。


『ははははははい!!』


彼の中では既に言い訳の言葉が組立られ始めている。

……あれ、やっぱ俺間違ってましたかって言うかお命ばかりは!!


『あ、いや、久遠先輩何かとりこんでらしたみたいでしたから……』
「何のこと?」


必死に弁解してるところを予測してなかった言葉が遮って、拍子抜けしたのかびっくりした顔をして奈緒の方を見遣った。


『え……、違うんですか?』


間抜けな声を出す彰。

どうやら茶葉を間違えた訳では無い様だ。


「鈴峰、結構紅茶抽れるの上手いんだね。」


どうやらお気に召したらしい。
眉間の皺も消えている。


『え、あ、そうですか?
あ……ありがとう……ございます……。』


親は中小企業の重役な彰。

心構えは立派に平民。
王侯貴族からのお言葉を賜ってかなり慌てている。
 

「……ねぇ、鈴峰ってランキング結構上位だったよね。どのくらいだっけ?」


『え?あの……確か学年で8位くらいで……』


その言葉を聞いて、満足したように次を続けた。

……ただし、当事者の彰本人を置いてけぼりにして。


「俊、猛、使いっ走り兼雑用係見つけたよ。
明日から生徒会役員で良いよね。仕事なら沢山あるし。」

『ちょちょちょちょ……!!
ちょっと待ってください!!』


いい、今何を言われましたか。
とんでもなく不吉な事が聞こえた気がしましたが。


「……何。」

『あの、俺、生徒会役員は無理です……ッ』


奈緒に睨まれて途端声が小さくなる彰。


「何で?」


何でも何も。
毎日こんな思いをしてたら胃に穴が空く。

……ッ誰が好き好んで……!

あ……、そ、それに……


『俺、スポーツ特待なんで、部活が……』


そうだよ俺はバスケに生きてるんだから!!

でも今バスケよりも己の保身が先に浮かんだ自分がちょっぴり嫌。

……まぁ仕方ないか。誰だって命は惜しい。

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あきゅろす。
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