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極楽蝶華
粗相あらば即刻切腹
 



『……お待たせしま……』



『…………した。』



部屋に入ってまず目に入った物は、修羅場。

その思いのたけを一身に受けてるあの子は暢気に角砂糖を噛じっている。



……会長の膝の上で。



抱きしめてた悠紀仁を奪われて相変わらず久遠先輩は(いつもより)不機嫌だし、獅子緒先輩と不動、琉崎副会長は言わずもがなで。


しかも彰、奈緒が不機嫌あらわに額に青筋立ててるのを始めて見る。




毎度黒い黒い、と灰斗から聞いていたが(言っても大した事ないだろ、嫌いだから余計そう見えるだけなんじゃ?と思っていたのが悔やまれる)これが……地か……?

く、とその八つ当たりをされそうな予感に涙を禁じ得ない。


「あ、彰ぁー。俺の俺の。」


ぴょん、と俊の膝から降りて彰に走り寄る悠紀仁。

……の背後から飛んでくる、癒し奪われて怒り心頭な大魔王様の視線に心臓射抜かれた思いの彰。

心なしか膝が笑ってるのはご愛嬌だ。


『あ……うん。ほら。オレンジジュース。
……イイコだから早く向こう戻りなね?』


ヤバイちょっと泣きそう。(自分情けなくて)


「か、会長……アイスコーヒーで、琉崎副会長が珈琲、久遠先輩……どうぞ。
あああ、あと、獅子緒先輩……コーラ……どうぞ。」


粗相をしたら斬られそうな気がする。

何、って。
この場の全員に。


辛うじて、普段友達付き合いしてるだけ不動とだけは免疫がある。
……高校上がってから碌に授業すら出ずに……口も利かなくなっていたが、最近はその尖った感じも消えてるから。


これも悠紀仁効果らしい。

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