極楽蝶華
お叱り二者択一
……と、よし。
コーラとアイスコーヒーに烏龍茶は冷蔵庫で十分冷えてたから氷はいらない。
珈琲は……これ、でいいんだよな。
これしか無いし。
聞いた事無いけど高そうな豆。
コーヒーミルにぶち込んで適当にタイマーをかけて、よし。
あとは……
……あれ?
久遠先輩何て言ってたっけ?
聞き覚えの無い紅茶の葉、もう一度尋ねようと恐る恐る生徒会室へと顔を覗かせた。
「……から俺可愛くなんかありませんから!!」
「悠紀仁が何と言おうと悠紀仁は可愛いんだからね?」
そこは丁度ぎゅう、と奈緒が悠紀仁を抱きしめて満面の笑みでいるところで。
……想像してみよう。
俺が話し掛ける→こちらに応対しなければならない→悠紀仁がその拍子に話はぐらかして逃げたら→その呵責は全て俺に
…………ッ無理!!
……で、さっき大量にあった紅茶の葉……もし間違えて持ってったら……怖いんだろうなぁ。うん。
@注文した品を間違えて己の愚かさを馬鹿にされる
……のと、
A久遠先輩が悠紀仁にじゃれついてる所に水を差して睨まれる(死ぬんじゃないかってくらい)
はい先生僕は@番を選びます!!
正解!!みたいな!!
と、一人脳内会議をやってたところで電子調理機の上の細口ヤカンが時を知らせた。
『うぉ、あぶねあぶね。』
取り敢えず火を止めて。
用意しといたドリップにミルから出した豆を入れて湯を注いだ。
しゅぷしゅぷしゅぷ、と小さい泡が立って砕いた豆を通り抜け、その下……カップの中に滴り落ちていく。
『さてと……』
出来るならお叱りは受けたくない。
その為にはなるたけ思い出す努力をしてみなきゃ……
……たしか、アールペコとかダージリンなんて有名なのじゃ無かった。
そんで、聞いたときに
久遠先輩らしいなぁって……
とりあえず、ここにある缶には……
ジャスミンティー、オレンジペコ、イングリッシュブレックファスト、ダージリン、ヴィンテージダージリン、ローズティー、アールグレイ、ロイヤルなんたら、プリンスオブ……なんて読むんだこれ?
『……この辺り、行っとくか……?』
ロイヤルなんたらとプリンスオブ何とか。
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