極楽蝶華
空中浮遊脱出
ヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤバい。
俺ちょっぴり泣きそう。
怖くて涙が出てきそう。
『ごご、誤解です違います俺そんなつもりは……』
「……じゃあどんなつもりだったって言うんだ……あ?」
今、周りに先輩達が聞き耳を立てているこの状況で俺が考えてた事一部始終話すわけにもいかないし……
……う、うまく隠しながら言ってこの人が俺の真意を汲んでくれれば……ッ!!
獅子緒先輩、貴方の……授業に出ずともAクラスから外れたことのない頭脳に俺の生命存亡賭けます。
『悠紀……ユ、ウが……敵、多いみたいだから……
普通の、先輩に、味方が出来れば……少しは、普段平穏に暮らせるかと……』
「……あぁ?」
俺のせっぱつまり感を察してくださ……ッ!!
『ユウは……外見、だけじゃ……ないですから、
味方、増やせるんじゃないかと思って、です、ね?』
ふ、と眉間が緩んで胸倉を掴んでいた手が離された。
「……あそ。」
床にいきなり降ろされて、足を着いた身体が思わずぐらついた。
「いちぉ、わかった。」
た……助かったぁぁぁッ!!
いちぉ、俺の命は助かったみたいです。
と
安堵した瞬間、自分より10cm程高い双眸がぐらついた。
「ぃッ……」
「レオ!!」
ごす、と背中に入ったらしい(悠紀仁の身長なら獅子緒先輩の腰辺りかも)(言ったら怒るだろうけど)膝蹴りに、獅子緒先輩がうめき声を上げて後ろを振り返った。
「お前何やってんだよ!!彰にいきなり!!」
「ユウ……」
……出来れば俺の名前引き合いに出して貰いたく無……
「……だってこいつ」
「言い訳しない!!」
窘められて架空のネコ耳がぱた、と伏せる。
心なしか尻尾も垂れ下がり気味だ。
『ユウ……いや、違うんだよ。ちょっとした誤解があって俺が怒られたんだよ。』
「……何の?」
『いや、とりあえず獅子緒先輩は悪くねぇの。
……叱らないでやってくれない?』
「……ホントに?」
『あぁ、……だから、もうホントマジに悪いの俺だから。』
いい加減その不機嫌な顔やめてくんないと俺の命とか命とか命とかが危ないんですけど。
「そう……じゃ、ごめんなレオ。蹴っ飛ばして。」
「んーん。平気。
代わりにちゅうさして。今。」
変わり身速いデスネ先輩。
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