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極楽蝶華





ぞく、と



生命に危機を及ぼす殺意を感じて後ろを振り向いた。




し……獅子緒先輩……ッ!!




あ、……やっぱり俺の事覚えてるんですね。

既に視線で殺されそうですよ僕。




「って訳で鈴峰、俺と高田と前原と山崎がユウちゃんとおんなしチームね。
あとは適当に出るヤツ決めといて。」


うぅわ適当ですね部長。


「三枝部長ー、俺もユウちゃんと同じチームがいいー。」
「うっせ部長命令だ。文句あんなら貢ぎモンでもしな。」



「ねぇねぇ、ユウちゃん何組なの?」
「付き合ってる人いる?」



横暴な発言ぶっ放した部長の横では早速悠紀仁を口説いてる人達が出ている。


「えー……あの、クラスはちょっと言えなくて……」

「えー。何で何でいーじゃん。ね?ね?誰にも言わないからさぁ。」



嘘つけ。


アンタ絶対周りに自慢すんだろ。


「それよりさ、好きな人いる?彼氏は?」

「あ、いや、俺ノーマルなんで、」

「えぇぇぇぇぇっ?!
勿体ねぇー俺狙ってたのに!!」
「マジで?!ねぇマジで?!」

「……狙う、て何をですか?」



またこてん、と微かに傾げられた首&上目使い。


「あ……ヤベ……俺マジになりそう……」
「何、ユウちゃんて天然?!うっわマジ可愛い!!マジ可愛い!!」
「こんな可愛くて天然……萌えッ……」




「……可愛くないっス。」


ぷ、と口を尖らせて若干不機嫌になる悠紀仁。


更に
「可愛い」
と騒ぎ出す先輩。



取り敢えず俺は、体育会系の後輩として先輩に逆らって悠紀仁を返すのと、獅子緒先輩の怒りに晒されて神経擦り減らすのとどっちがマシかを天秤にかけて……


……スゴイ勢いで獅子緒先輩に傾いたのを再認識して、泣きそうになってる所だった。

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