極楽蝶華
このくらい好き
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『ねぇ、ユウ……ごめんなさいってば。』
「……うっせーんだよばぁーか。」
半ば走るようにヅカヅカと先に行ってしまう。
『しょうがないじゃん。
ユウが可愛すぎたから』
「黙れ馬鹿!!」
むぎ、と口に押し当てられた手。
……改めて見ると、やっぱちっちゃいんだね。身体のパーツ。
「可愛くなんかねぇよ!!」
さっきからこんな押し問答の繰り返し。
『……可愛いのに。』
「目ぇ腐ってるねお前!!」
ふん、と鼻息荒くまた走り出す。
……ここでも身体のパーツの差が出て軽く追い付かれてしまうのだが。
『ねぇ、ユウ待ってよ。』
「うっせーよ。……ばか。」
ぴた、と止まる足。
とりあえずご機嫌取りに後ろから抱き着いてみた。
「……何でスグ離れなかったん?」
『……だから言ってるじゃん。ユウが可愛過ぎて他の物なんか目に入んなかったの。』
ぶう、と
【納得がいかない】
という顔をしつつも、俺が甘えて擦り寄ればちゃんと喉を撫でてくれる。
「……きっとレオの脳みそ虫が涌いてるんだよ。」
ユ、ユウ……その例えはちょっと……やだなぁ……;
『涌いてないよ。』
「じゃあ腐ってんだ。」
未だ不機嫌そうに伏せ目がちな瞳。
覗き込んで瞼に口付けた。
『……もうそれでいいよ。』
「腐ってんの?」
『うん。ユウがそう思いたいならそれでいい。』
「…………。」
『でもね、ユウが何と言おうと、自分の顔について何と思ってようと……俺にはユウが可愛く映るの。
世界でいちばん。』
「…………ばかジャネーノ。」
ぽつり、とまた一段と不機嫌そうにしながら
『うん。馬鹿だよ。
だって俺ユウのキス一つでこんな舞い上がっちゃう。そんくらい好き。』
顔紅くして、口を尖らせて、また一回小さく
「……ホント……ばか……」
馬鹿だよ。
だって、ユウしか見えない。
そんくらい好き。
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