極楽蝶華 モシモシ? □■□■□■□■□■□■ [あれ、悠紀仁?] 『あー。もしもし話代わりました。』 [……誰、あんた。このケータイの持ち主?] 『あ? うん。そー。これ、俺のケータイ。』 [……悠紀仁の、何。] 『わざわざ俺のケータイ経由でテメェに電話かけさせるような関係。』 [……ッ何なんだよアンタ。いきなり!!] 『あーもーうっせーっつーの。吠えてんじゃねぇ。 質問に答えろ。』 だから電話ってめんどくせーんだよ。 顔が見えれば口応えなんてさせねぇのに。 聞いた話じゃ悠紀仁に好意抱いた上で一緒に居るっぽかったからな。 ある程度顔に自信はあるんだろ。 ……あぁ、ほんと、顔が見えたら口応えなんかさせねぇのに…… [ハァッ?!!だから、ホント何] 『あー……ッたくうっせーうっせー。いいから、中学ん時悠紀仁の顔叩いた長谷山って女の学校教えろ。』 [何だっつーのいきな] 『教えろ。』 [だからな] 『言えっつってんだよ俺はさっさと。』 自分の威圧がどんなに効果があるかは知っている。 暫くの沈黙の後、ぽつりと一言。 [……都内の……私立、宗林学園……] 『あっそ。ごくろうさん。』 ガチャ切りしようと顔からケータイを少し離した所で、腕の下の銀髪がいきなり飛び付いて来た。 「和希!!」 [え、あ、悠紀仁?] 「悪ぃ。夏休み入ったらそっち帰るから!!」 [……あ、うん、うん!!分かった!!待] ――ブッ―― 電子音が区切れながら流れて来て通話終了を知らせた。 悠紀仁が昔の友人と楽しそうに話す姿は気に食わなかったけど、まぁこの体勢はオイシイからよしとしよう。 自分の膝の上に乗っかり、足の付け根に手を着いて上半身をピッタリくっつけるような格好の悠紀仁を見遣った。 全く。 このお姫様は鈍感で困る。 [*前へ][次へ#] [戻る] |