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極楽蝶華

 

「……ッな!!何話してんだよ奈緒!!」

「大丈夫。その
【相手】
の名前は言ってないから。」

奈緒が、うずくまって床を叩く悠紀仁を横目で見た。


「……ッたりめェーだっつのコラァ!!いっぺん締めんぞテメェ!!」


涙目に見上げた先に、少し耳が赤くなった俊と口押さえて肩を揺らす猛さん。


「えー。恥かかせる権利くらいはあると思うんだけどなぁ。
……俊、お前が荒れてる間誰が会長職務代行してたと思う?」


ぐ、と息を飲んで不自然に目を逸らす俊。


「ハハ、俊……耳赤ぇー」


「笑ってんじゃねぇ猛。
……早々に国外逃亡かましやがって。」



ふ、とばつが悪いように猛が固まった笑顔のまま視線を天井に向けて泳がせた。



「不機嫌な俊宥めすかして机につかせるのどんだけ大変だと思ってるの?!
猛がいなかった所為で僕が一人でやってたんだからね??」


あ、横隔膜痙攣してきた;



「だから……悪かったって……」

冷や汗を浮かべながら必死に弁解をする猛。


「まぁ諸悪の根源は俊だからね。」

話を元に戻され、気まずそうに瞼を伏せる俊。



「うわぁ……俺、カイチョがそんな奥手だと思ってませんデシタよ。」

「うるせぇ獅子緒……。貴様だって似たようなもんだろ。」


顔を伏せて腕を組み、ソファの背もたれに身を投げ出して不機嫌そうに目を閉じた。



『てか……俊、何でそんな純情かましちゃってんの……?』


しゃっくり地獄から何とか立ち直って俊イジリに参戦してみる。


普段身長でからかわれてるから調度いいや。



「うっせーな……初恋なんだよ。
……どーしたらいいか本気で解んなかったんだよ!!」

『クク……俊が照れてる……俊が……』


背もたれ越しに抱き着いて、無理矢理顔を覗き込んで赤くなってるのを確認した。


「悪ぃか。」

『悪くはねぇけど……笑える〜……ッ……クク……』


きゅ、と寄せられた形の良い眉の下から細く睨み付けてくる。


「……クソ、言ってろ……」



あの俺様があの俺様が;


ギャハ━(゚∀゚≡゚∀゚)━!!





照れてますよ奥さん!!

恥じらってますよ!!

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