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極楽蝶華
スーパー
 

キャベツ……人参……と。
これであらかた野菜は揃った。肉も買った。
後は米、小麦粉、卵に調味料類だな。

一気に一週間分くらいを買い込むべくスーパーの中をカートを押しつつ歩き回っていた。
途中奈緒先輩が物珍しそうに色々立ち止まるのに付き合いながらこまごまとしたものを見ていく。

「あ、悠紀仁、牛乳。」


はい、と奈緒先輩が勝手に籠の中に突っ込んできた。

『あぁ……はい。』


まぁ別に使うからいいんだけど。

値段を見てびっくり。またこの人はなぜわざわざ一番高いのを選ぶんだ?

『何のつもりですか?』


日々の献立に使うかこんなもん。
俺は一番手前の「特売品成分無調整牛乳157円」しか買う気はないぞ。


「僕は牛乳が好きなんだよ。」

『それで?』

「悠紀仁の部屋に行って牛乳が無いと僕が不機嫌になるかもしれないよ?」

……つか来るつもりDEATHかアナタ。やめれー。

『別に「牛乳無かったら代わりに悠紀仁食べちゃうからね?」わかりました買います。』

自分の身の方が可愛い。当たり前だ。
牛乳の代わりに奈緒先輩のおもちゃになる気は毛頭ない。


「それに同室はあの春日君だろ?
僕の可愛い悠紀仁が変なことされてないか心配で心配で……せめて毎日様子を見に行かなきゃ。」 


『俺は先輩の所有物じゃありません。
あと、可愛くもないです。全然。』

「何かされたらすぐ僕に言うんだよ?悠紀仁を慰めた後たっぷり仕返ししてやるから。」

……【慰める】のフレーズの時、奈緒先輩の目がマジになった。

……また何する気だこの人は……


つか人の話を(以下略
この学園の人は(以下略

食い盛りの俺は、カートに乗らない10sの米を肩に担いで片手でカート押……そうとして

「駄目だよこんな重いもの持ったら!!」

後ろから奪い取られた。

『子供じゃないんですから平気ですよ。返してください。』

「駄目。荷物は僕が持つ。悠紀仁の細腕にそんな加重がかかるなんて見てられないよ。」

自分だって細いくせに。

『10kgくらい平気ですよ。女の人じゃあるまいし。』

「駄目」

……やっぱり、親父に似てる。この見事なまでの過保護っぷりとか。

『目上の人に荷物持たせるわけにもいかないでしょう。俺これ以上やっかみ受けたくありませんよ。』

「……じゃあ、しょうがない。」

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