極楽蝶華 2 また視線が少し泳ぐ。 胸の前で組んだ指を少しもじもじさせた。 『あ、あぁ……ハイ。 えと、……ありがとうゴザイマス。……嬉しい、です。』 あぁぁぁぁぁぁっ!! 俺今絶対顔赤いよ!! へた、とうなだれて目の前の人の顔を伺ってみた。 「……か」 か? 「可愛いぃ〜〜ッ!!」 『ふに゙ゃあっ!!』 いきなりぎゅう、と抱きしめられて変な声が出る。 「可愛い。スゴイ可愛い。」 『なななななぉせんぱっ……くるじっ……!!』 ぐりぐりと力を込めて頭を首元に押し付けられ、息が出来ない。 手に持ってたチョコを思わず握り締めてしまい、乾いた音がしていくつかに分解したのが分かった。 『……ッ、ぶはぁっ!!』 おぉ。 酸素酸素。 「可愛い。悠紀仁、涙目になってるよ?」 『……わぃく、ないっ……デスから……ッ!!』 いくら苦しくてもそこは否定だよ。 全身全霊で否定するよ。 「バカ。 お前、それが駄目なんだよアホ。」 「意味無いからねぇー? せっかく俺達が側にいんのにさぁ。」 何の意味。 俺に嫉妬するヤツを増やす、といった点では多大な貢献を見せてますが、それ以外に何か意味ありますか。 ふぅ、と息をついてまた奈緒先輩に倒れ込む。 この人達疲れる。 [*前へ][次へ#] [戻る] |