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極楽蝶華
どこまでも優しい
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「ねぇ、僕談話室行くから。俊達も、ここだと外野が煩いから移動しない?」


目ぇ笑ってねぇーヨ。副カイチョ。


「……獅子緒、行くぞ。」

「で、……悠紀仁が、何?」



『……ユウは優しいから……。人の事憎んだり、本気で怒ったり……慣れてねぇんだよ。
それでも自分の感情全部は出せなくて、持て余して具合悪くなっちまうんだ。』

「……俺の事でキレてくれた、っつーのが嬉しいね。」

『耳聞こえてんのか。ユウはな、優しいんだよ。テメェーらみてぇな俺様野郎にもな。』



「でもさ、本宮アレ顎外れたんじゃねぇーの?悠紀仁の蹴りモロに喰らったんだろ?」

「獅子緒が殴って鼻も潰れてたしな。マヌケ面がどうなるか楽しみだ。」


口の端だけ上げて笑った後、俊が先に談話室内に入っていた奈緒の元に歩み寄った。


「悠紀仁、平気か?」


その膝の上に抱かれている人物の顔を覗き込んで心配そうに伺う。


「……ちょっと、ダメ。
お腹減って気持ちワルイのもあるし……。ダメ。」 

ぎゅう、と副会長の首に回された細い腕。
さっきまで自分の首に抱き着いてたのに、と少し不機嫌になる。


『……ユウ、チョコ食べる?』

「……食べる。さんきゅ。」


もそもそと、痛々しいくらいに色の失せた白い手がこちらに延びる。

小さい手に赤いパッケージを握らせて、その手の甲に口付けを落とした。


『ユウ……具合、平気?
気持ち悪いの治まった?』


「……だいぶ。
ゴメンな?心配かけて……。」


ふぅ、と少し辛そうに息を吐き出している。


『謝んないで。ユウ。
俺が好きでやってんの。』

「……さんきゅ。」


に、といつもより力無く笑ってチョコを食べ出した。


「……だから本宮に近づくな、っつっただろ。」

「……悪ぃ。」


パキン、と板チョコが欠ける。


「ッ、俊、それ今言うことじゃねぇだろ?!
……悠紀仁、気にすんなよ。」


「……何かあってからじゃ遅いだろ?
なぁ、悠紀仁。俺心配してたんだよ。別に怒ってねぇから。」

「……ん。」

 


ぐりぐり、と頭を撫でられてユウが少し目を細めた。

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