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極楽蝶華

 


気持ちワルイ気持ちワルイ




……だから、人を憎むのって苦手だ。


膨脹した鼓動が、少し靄がかって頭に響いてる。





きぃん、と鳴り出した耳鳴りがこめかみを貫いた。



その場に座り込み、頭痛に眉をしかめ、小さく呻く。



「獅子緒。テメェこんなとこで何してんだよ。」

「あー……カイチョ。
つか、何。3人集合?」


下を向いていて顔まで見えないが……この靴には見覚えがある。


バッシュが俊で、踵潰したスニーカーが猛さん、ブランド物の革靴が奈緒先輩。


「悠……ユウ?何してんの?」



レオが身を起こした気配がして、奈緒先輩が俺に気付いた。


あ、てか俺見えませんでしたか。

そうですかレオ君でっかいもんね。俺屈んでたし!!
決して俺が小さいとかじゃないよ?!


「ユウ……大丈夫?」


『……ちょっと、治まって来た。』



まだ頭痛は酷いけど。


吐き気もするけど。



「……カイチョ達さ、ちっと話あんだけど。耳貸せ。」

背中に置かれた手が離れて、またすぐに違う手が撫でてきてくれた。



「大丈夫?気持ち悪いの?」

あぁ、奈緒先輩だ。




脇に手を入れて、床に膝を着いた自分の身体にもたれ掛からせる様に抱き寄せてくれる。


『あー……ハイ。』


「談話室、行く?何か飲んだ方が良いよ。」


『……頼みます。』





ふわ、と重力が消える感覚がして


またお姫様抱っこされてることに気付いた。




あ、結構筋肉付いてるんだ。みたいな。



……決して俺が軽いって訳じゃなくて。

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