極楽蝶華
廊下にて
「「「悠紀仁、久遠先輩とどう言う関係なんだ?!」」」
こっちが聞きたい。
『昨日生徒会……に呼び出しくらって、インターフォン鳴らすとか知らなくて、エレベーターに閉じ込められて、んで出してもらった人。』
会長に個人的に呼び出されたんだけどな。
「それだけ……?」
『ざっつおーる。』
昨日会ったばかりの人にそんな大したエピソードなんて無い。
……いや、あるけど、言いたくない。
「なーなーなーなー。今……お前久遠先輩のこと、名前で呼んでたやろ?どうしたん。」
それこそこっちが(以下略
『知らね。なんか向こうが名前で呼べって。』
「……お前、暫く……いや、ずっとか。とりあえず自分の身辺気を付けたほうがいいぞ。」
いや今でも気をくばってるけどさ
『なんかあんのか?彰。』
「久遠さんファン多いからさ。気を付けろ、ってことだよ。」
『そんなのがいんのか?』
げー。めんどくさ。
でも、誠の嫌そうな顔にそれが真実なんだろうと確信して余計げんなりした。
「全寮制の男子校だからね。恋愛対象が近場に行っちゃう人が多いんだよ。」
……なんか灰斗もそれ関係で苦労してそうだな。俺ホモじゃないけど普通に灰斗可愛いと思うし。
『あ、そーだ。移動教室だっけ?』
「嘘だよ。なんか困ってたから。」
『……灰斗……お前いい奴だなぁー。』
友情の有り難さに思わず涙が出そうになった。
……そして、放課後はあっという間に来てしまった。
午後の日差しと満腹感が睡魔を容易く受け入れたからだ。
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