[携帯モード] [URL送信]

極楽蝶華
……ソファに。
 

いや、まぁ昨日この部屋に初めて来てそんな場所で見慣れるもへったくれも無いような気もするが……

この状況はさすがにそうそうあるように事態じゃないだろう。


ソファの上にうずくまっている、ほぼ何も身につけていない男の子。全裸じゃ無ければ女の子と言われれば信じられるくらい可愛い子。

強く掴まれたようなアザと、
顔と髪の毛にこびりついた乾いた精液。

確か昨日「俺の女に近づくな」的な事を俺に言ってきた子。



昨日からずっと……?

昨日小馬鹿にされたとはいえ可愛そうになって来た。

昨晩さすがにうるさくて
『どんなマニアックなプレイだかなんだか知らねーけど他でやれよー……』
とか思ってたけど本当に乗り気じゃなかったんだね……

ってゆーかこんなこと考えてる場合じゃないな。
うん。

取り敢えず風呂場に行って浴槽に湯を溜めた。
自分の部屋に行き、まだ新しいシーツを袋から出す。

バスタオルじゃいくらチワワといえど完全に包めない。

何やかんやよくわからんがソファで震えている小動物にかけてやって。


瞬間、怯えた目で見上げてきた。
あーなんかコイツ昔飼ってたハムスターに似てるなぁー……

顔を上げたので、その下の手が縛られているのに気付いた。ソファ本体から伸びる木製の肘掛に荷造り用の紐を通しメチャクチャに結んである。


ちょっとやそっとじゃ取れそうに無い。
この所為で朝まで逃げらんなかったんかー……っつーか……この紐俺が荷造りに使った奴だね……


捨て忘れた紐がこんな暴挙に使われていて少し胸が痛んだ。

部屋に戻ってハサミを取ってくると、一層怯えたように嫌がりだした。


『あっ……暴れるなって。手首血ィ出ちゃってんじゃん。』

所々擦り傷トカあって痛々しい。

『別に何もしねぇよ。』

手首を傷つけないように紐をぶつぶつ切って、シーツごとくるんで抱えて風呂場に行った。


くっ……

くやしいが力が無いので半ば引きずる形になってる……ッ
すまんチワワ。

[*前へ][次へ#]

54/99ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!