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極楽蝶華

 


「支社長……お時間が……」

傍らにいたいかにも【真面目】って感じのえらく男前な人が俺の腕を掴む人物を引き止めた。


支社長なんだすげー、とか考える間もなくナルとかと一緒にエレベーターの中に引っ張り込まれて、みるみるうちに扉で隔てられて外界が段々細くなっていく。


・・・・扉が閉まった。


え??何処行くのよ。



ハルキ??さんだっけ。ナルの父親が押したらしく最上階のボタンが光ってる。

本社……だよな。最上階とか……
かなり偉い人がいるんじゃね??

どーする自分☆

「逃げる」「逃げたい」「逃げるとき」「逃げねば」「逃げさせて」


俺のなかに某大手カード会社のCMみたく選択肢の書かれたカードが浮かんできた。

だがしかしそこに可能性は無く依然として「逃げる」一択。無駄に活用までしてある。

何だろう。何かやったっけか俺。
それとも悠臣の名前に反応してたしあいつが昔に何かやらかしたんですか。
許さねーぞマジ。コークスクリューパンチきめたあと空中で3コンボくらい叩き込んでやる。



「……君?悠紀仁君?」


うぉっ。びっくりした。

どうやらさっきから何回か呼び掛けていたらしい。目の前に突然現れた男前に一瞬面食らった。


「今、君は幾つだい?」

『15、高校一年です。』


「そうか……やはり、悠臣の息子らしいな。」


や、だからそう言ってんじゃないデスカ。


『……えと、父をご存じなんですか?』

「あぁ、……それは、この後で……。」


見下ろすと目線の高さより少し下にビル群が連なっている。このビルは周りよりも大きいようだ。

やっぱ天下の藤堂グループ本社だもんねーとか思ってるとまた手を引かれる。
 そのままぐいぐい引っぱられて1番奥の扉の前に連れてこられた。

俺を掴んでないほうの手で、ハルキパパがその扉をノックする。

扉にも高い素材使ってるらしく、響く音までも重厚だ。


「総帥、失礼します」



……って
えええええぇぇぇぇぇ!!
あの世界長者番付の上位にランクインしちゃってるひと??

やめてよー(-д`-)

知り合いの息子が支社長の御令息連れてきただけですよ??
それともやっぱ悠臣が何かやらかしたんですか。マジで。

部屋の中央に引っ張りだされて正面を向くと、品の良い初老の男性が目を見開いて驚いた表情をしていた。


「……悠臣っ!!」
『ふぇ??』

また変な声がでる。
はぃ本日2度目。

イヤーンだよ。もぅ状況がイヤーンだよ。
うぅ……視線が痛い……

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あきゅろす。
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