極楽蝶華
ふたりとも、どしたん?
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「……悠紀仁!!」
『あぇ、奈緒先輩?……とりょーちゃん先生。』
血相抱えて部屋に飛び込んでくる二人に、ケータイから視線を外した。
「……何もされてない?」
『へ?』
「二人でいる間、何か俊に変な事されてない?」
……スイマセン。
変な事させました。
世界有数の琉崎財閥の御曹司にアレな事頼みました。
言えるわけないけどね。
『……されてない。……けど……
あ、意地悪された。』
「何?!!」
『膝の上から下ろして貰えなかった。』
ほぅ、と息を吐く二人。
奈緒先輩がこちらに歩いて来て、頭を撫でてくれる。
「……悠紀仁。辛いかもしれないけど、……聞いて?」
ソファに腰掛けた奈緒先輩が、俺を抱きしめて耳元で囁いた。
「……何があったの?」
奈緒先輩の匂いがふわふわして心地良かった。
「僕は、先生から何も聞いてない。でも、嫌なら……答えなくていい。」
包んでくれる体温がとっても気持ち良かった。
「でも、嫌な事があったなら僕にも一緒に分けて。」
『……ぅ、っ……』
背中を丁寧に撫でられて、また涙が滲んだ。
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