極楽蝶華
エレベーター内で
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うぃーん、と。
エレベーターのモーター音が箱形の空間に響いた。
「なぁ……」
『っ!!……なに?』
いきなり話し掛けられて、ちょっとビビった。
それでなくても今神経過敏になってんのにぃ。
「……あんな嘘ついてゴメン。」
『……ホントだよ。』
「……でもな、お前とキスしたかった。それでも。」
『何でよ。』
そんなキス好きなの?
「お前が……好きだから。
キスも、お前としかしたくない。さっきの相手とは、本当にする気じゃ無かった。
……俺は。
セックスも……キスも、俺はしたくなんてなかったんだよ。アイツとなんて。
……交換条件出されて仕方なく。」
そーいやなんか俺の口の中甘い、とか言ってたなぁ。
後半別に聞いてないけど。
『……俺は恥ずかしいから嫌。』
「俺とは……したくない?」
やめろよ……そんな捨てられた犬みたいな眼すんの。
『……お前が嫌なんじゃなくて、キスが嫌。』
「何で?」
『恥ずかしいから。』
「俺は恥ずかしくない。」
いや……あのね、俺が恥ずかしいから、俺がしたくないっつってんだよ。
「……悠紀仁は、俺がキスしたら……嫌?」
『……キスが嫌。』
「……俺の事は、好き……か?」
イヤイヤイヤ。
顔近い顔近い。
今ちょっと話せる様な状況じゃ無いんで(特に下半身)
切羽詰まってるんでやめれ
しかも、このお姫様抱っこね。
腰突き出すみたいな恰好。
うん。
まじでツライ
イヤね、イケないんだよ。
これ知らなかったけどかなり辛いんですけど。
そんでさ、俊の息が耳から首筋から、かかるんだよ。
わざわざ耳元なんかで喋るから。
普段はこそばいだけなんだけど、今はソレプラス下半身が以下略。
……薬盛られたんだからしょーがないよね。
エレベーターがガクン、と止まった拍子に……中のアレが動いて擦れる場所が変わって。
声が漏れそうになり、目の前の俊の首筋に自分の顔を埋めて、必死に声を押さえて自分を落ち着けた。
扉が開いて、俊が俺を抱えて急ぎ足に奥まで行き、俊の部屋らしいドアを開けて中に入る。
……なんで、お前も切羽詰った顔してんだよ。俊。
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