極楽蝶華
春日不動アゲイン
浴場に入り、辺りを見渡してシャワー台を探してみる。
空いてるとこ、空いてるとこ……
あったあった、と端っこの方に座ったら隣の奴がガン飛ばしてきた。
『何見てんだテメェ。』
ヤンキーとして当然の事。
ガン飛ばし返して文句つけたら……相手の顔が一気に赤くなり、俯いて、視線が泳いだ。
指摘されて恥ずかしくなる程度の根性なら突っ張ってんじゃねぇ。
イライラ。
もう考えない事にして目の前のレバーに手を伸ばした。
温度を熱めにしたシャワーからお湯が勢いよく噴き出てきて、突き刺さるくらい気持ちよく髪や肌を流れて行った。
やっぱヅラは蒸れるね。うん。
髪洗ってる途中で『蒸れが原因でハゲたらどうしよう』と本気で考えた。
一通り洗い終わって湯ぶねに浸かり一息ついた。やっぱ風呂はいいねー。
と こ ろ で
なんか今日は……
やけにガン飛ばしてくる奴が多いんですが。
この髪が目立つことは自覚してるがここまであからさまにやられるといくら温厚な俺でも少しばかりイラっとする。
おまえら……今、学校内とかハルキパパの面目とか琉崎の事とかもろもろの諸事情が無かったら……
とっくに一発ずつ殴ってるからな?
……ガン飛ばしてくるやつってゆーか……そもそも異常に人が多くね??
いつもこんななのか。
これからが混んでくる時間帯なのかなー まぁギリギリでかち合わなくてラッキーとか考えてたら
「コンニチワ?」
左側から疑問形で声をかけられた。
『……不動?だっけ。』
どーでもいいけど風呂入るときボディピアス外して入んないんだ。
下を見てみるとヘソにもついていた。
……体洗ってるとき引っ掛けたりしたらどーすんだろう……
あ、駄目だ駄目だ。想像したら痛くなっちゃった。
俺が想像でちょっと嫌な顔してたら、相手はにんまりとやらしー笑みをした。
「俺の事、知ってるの?嬉しいんだけど。」
あ そっか今の俺は不動にとって初対面なのか。
『……テメェの性格の悪さは有名だからな。
耳に入ってくるんだよ。』
吐き捨てるように言って、軽く睨んでみた。
・・・・毎度の事ながら全然効いてないけど。
なんで俺のメンチって効果無いんだろう。
「……反抗的な態度も、……かなりヒットだし?
なぁ、それ誘ってんの?」
でも全然会話通じないし。
何言ってんだコイツ。
ヒット、て何処に。
バットにか。三遊間抜けるのか。
俺は何も投げてないけどな。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!