極楽蝶華
もういらね。
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科学実験室の黒くてデカイ机に座り、早く終わんねぇかとぼー……っとして天井を眺めていた。
「う……そぉ……何で?」
自分の足の間に埋まってた猫っ毛が持ち上がり、萎えた雄を口から零した。
先端から粘性の高まった唾液が糸を引く。
『……だから言っただろ。
俺はもうお前とヤラねぇ、って。勃たねぇんだよ……アイツじゃなきゃ。』
身体の向きを変え、制服の中にソレをしまった。
「な……んで?!何で?!
何で僕じゃ駄目なのぉ……」
『お前が駄目とか別に言ってねーだろ。勝手に悲劇のヒロインぶんな自意識過剰。
……俺はユウじゃなきゃ駄目なんだよ。』
胸ポケットから煙草を出して、唇に挟んだ。
カキン、とオイルライターの蓋を開ける。
ジジジ……と小さく鳴って、火が付いたことを確認してライターを閉じた。
「ねぇ……じゃあ、言わないから、今までみたいにシテよ。
僕上手いから、そのうち俊様もきっと勃つよ?」
『……お前が上手い、っつーのは知ってるよ。俺がもうユウと以外こういう事したくねぇんだよ。』
強いタールの香りが肺を満たした。
「……でもっ!!」
『うるせぇよ。』
いい加減しつこくてイライラしてきた。
最大限で冷たく突き放す。
『いいだろ。お前は俺だけじゃねぇんだし。』
「……え?」
『オイコラ。俺にバレてねぇとでも思ってたのか?
春日や獅子緒や猛とまでヤッてんだろーが。』
「……俊様、だって……」
『俺はもうユウしか見えない。』
黙ったままの初音(ハツネ)。
『ユウしか欲しく無いしユウ以外いらねぇ。』
むせ返る様な濃いニコチンを、ゆっくりと吐き出した。
「じゃ……じゃあ、最後にシょ?」
自分に跨がって、誘うように腰を擦り付けてくる。
『……うい、いい加減にしろ。』
ランキング4位の可愛らしい顔付きを睨む。
自分の事を「初様(ウイサマ)」と呼ばせる淫乱。
教室に鞄取りに戻ったらコイツがいて
「俊様ぁ!!最近抱いてくれないんだね。僕寂しかったぁ……
……ね、シてよ。」
『あ、無理。』
「……え?」
『あとな、俺お前と切るから。』
何で男も女も別れるときギャーギャー言うんだろうな。
めんどくせぇ。
「ね……最後。そしたら俊様も考え直すと思うよ?」
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