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極楽蝶華
返事
 


考えるより先に、身を乗り出して二人を引きはがしていた。


「っわ、……何々!!?」




ほぼ仰向けに丈の低い応接テーブルの上に転がされた悠紀仁の顔は、涙でぐしゃぐしゃで真っ赤になっていて、さっきまでのイライラが一瞬ぶっとんで思わず抱き締めちまいたいくらい可愛かった。



「ば……ばかぁっ!!見んなぁっ!!」


途端、身体を横向きにして腕で顔を覆う。



耳まで赤くして、荒い呼吸を整えるように吐息が震えて……






泣かしといて不謹慎だが、可愛い。



『なぁ、俺、お前の返事聞かして貰ってない。』



お前は、俺の事好き?


「……そーいえば僕も。」
「俺も……」





声に反応した悠紀仁が、ぐしぐしと目を擦ってゆっくりと身体を起こす。



俯く顔はまだ凄い赤くて





「俺、みんなの気持ちは嬉しいけど……」





あ、もうやめてくれ。


告白の返事が「だけど」から入って良いものである筈が無いんだ。



告ったらしい副会長達と獅子緒も意気消沈してる。



まぁいい。全員断られた、って事が分かるだけ。



「……キスしたい程好き、とか……俺にはその気持ちは理解できない。」





……ん?



「それに、お前らは仲良い友達にキスすんのが好きなのかもしんないけど、俺は恥ずかしいからその相手は出来ない。」




…………え。



「俺とする……その、……
……キス……
好きとか、言ってたけど、……俺はハズイから無理。」




……何であんなストレートにズバッ、と言ってそう解釈されるんだ。




むしろそれほど紆余曲折して受け取る方が難しいような気がする。



他の奴らも悠紀仁の答えに心底拍子抜けしている様子だった。

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あきゅろす。
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