極楽蝶華
俺の事も、叱って……
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「あれ?俊は?」
『……会長ならさっきそのまま出てっちまったよ。』
扉を顎でしゃくるとき、左頬を冷やす春日が目に入った。
席を立って部屋に行こうとすると、奥の部屋からユウが出て来て。
『……っえ??』
「……俊、ホントにどうしたんだ?」
何でそいつの事心配すんの?
「やっぱ、俺なんかやったのかな……」
何で会長の事でユウが悲しそうな顔すんの?
ユウ、俺まだ二人っきりであなたに謝ってないのに。
『ユウ……っ』
「なに?」
考え事してるのか、軽い調子で返された返事に胸が苦しくなった。
「え……?!
レオ、何で泣いてんだよ?」
だって、お風呂から出て来たら叱ってくれるって言ったのに。
いっぱい、怒ってくれるって。
いつものユウと接点を見つけて、嬉しかったのに。
午前中に振り払われた感触が、まだ手に残っているから、まだ、スゴイ怖くて……
俺の、ごめんなさいも
聞いてよ……。
「馬鹿。何でお前が泣くんだよ。」
前屈みに垂れた頭に懐かしい感触があった。
髪を梳く様に撫でるユウの手。
『だっ……て、俺の事、叱ってくれるって……
ユウが、忘れたからぁっ……』
「あぁもう。んな事で。」
俺の膝の上に座ったユウが、ぎゅう、って抱きしめてくれる。
『ご……ごめんなさぃっ……』
自分も腕を回して、ユウの胸に顔を埋めた。
『嘘ついてごめんなさぃっ』
「……怒ってねぇよ。」
喉に、手がかかる。
指先がふにふに、と柔らかく動いて首筋を撫でた。
いつもの、ユウだ。
途端、緊張が解けた。
顔を上げてユウと向き合う
『ぅあ゙っ、俺、ユウに嫌われた……って思ってぇ……ごめんなさぃ……』
「……馬鹿。お前らに嫌われた思ったの俺の方だ。」
「あんな嘘つかれて……」
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