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極楽蝶華
誤解
 
 

あても無く早足で校舎内を探し回っているとき、携帯電話が鳴った。



村上隆也



ディスプレイに4文字が表示される。



―プッ―

『……久遠です。』


「久遠先輩。村上です。」


『何か用?』



今は時間ばかり急いて過ぎていく。


気ばかり焦った。



「昨日悠紀仁様に関係して問題を起こした生徒会の人間を全員連れて来てください。
HR棟生徒会室で待っています。」



『……何の為に。』


そう言えば悠紀仁の家の使用人だったか。


……また説教でもするつもりか。



「悠紀仁様は……あなた達に騙されたと思って平常心を失っています。大変不本意ですが、誤解を解いていただきたい。」


『……何の事だ?』


「あなた達、友達に騙されて裏切られたとお思いです。
嫌われた故の行為では無い、と貴方方の口から説明してください。」



『……。』



「悠紀仁様は泣いていました。本当なら二度と合わせたくありません。」


『…………悪かった。』


「それを、悠紀仁様にどうぞ。
言い方やごまかし方まで指定しませんが、謝ってください。
悠紀仁様と生徒会室で待っています。」



『言われなくても、だよ……』




手の中の沈黙したプラスチックを通常画面に戻した。



アドレス帳を呼び出して索引の早い順にメールを打つ。




あいつらに知らせるのは癪だが、僕等にされたことで悠紀仁が泣いてるなら全員に言わなければ。





【HR棟 生徒会室で
悠紀仁が泣いてる。来い】



それだけ入力して、一斉に送信した。

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あきゅろす。
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