極楽蝶華 着信音1 先輩と別れたあたりでケータイに着信があった。 後で着信音変えよ。事務的な電子音じゃなんとなくつまらん。 着信は……ハルキパパ。 『はいもしもしー』 「悠紀仁か?もうそっちでは落ち着いたかな。」 『あ、はい何とか。今食堂でご飯食べて来たところです。』 高いのを。 「そうか。何か欲しいものはあるかな。」 あ そーだそーだ飯といえば。 『欲しいものって言うか……したいことがあるんですけど。』 「何だい?」 『……俺、自炊しても良いですかね。』 「………それは…どういう意味なのかな?」 ……意味っつってもそのまんまですが。 『食堂の値段が高くて…。今まで庶民な生活送ってきたんで、あそこで買う気しないんです。』 「…悠紀仁がしたいならそれでいいが……勉強に支障は出ないのか?」 ……俺が、金使わせまいと気を遣ってる、みたいにとられたのかな。 『いえ、全然平気です。……と言うか、母親が死んでからずっと家事は俺がやってたんで、寧ろしないと落ち着かないんですよ。』 ケータイのむこうで 「そーかそーか」 とハルキパパが苦笑している 「あ、それと……」 『はい。』 「隆也君にはもう会ったかい?」 ……誰それ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |