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極楽蝶華
……久遠先輩、怖いよ。
 


「……何すんだ奈緒……」

こっちがてめぇに言いてぇ。
人の首いきなり締めてきて何考えてんだテメェ。

……アレは本気だった。手に込められた力も、制止を聞かなかったこいつも、何よりその目が。
従わないと殺すと、言っていた。



「俊こそ今悠紀仁に何してた?」


あれ、いつの間にか呼び方が……


……まぁいいや。この人先輩だし。呼び捨てでも。


「……吐かねぇから、ちょっと首絞めただけだ。」


……ちょっと?
え、うん、ちょっとってさぁ、ブラックアウト寸前も含まれるのかなぁ。
ねぇ俺校門とここで合わせて2回意識飛びそうになったんだけど。ねぇ。


「ふざけんな」


「…はぁ?」



「今度手ェ出してみろ。……ぜってぇ許さねぇからな。
2度と触れるんじゃねぇ。近付くことも許さねぇからな。」



先輩最初とキャラ変わっちゃってます。
でもたぶんこっちが地。


かなり不機嫌そうに半裸のまま無言で出ていく琉崎。



廊下で響く足音。
何かが蹴られたらしい音。
何かが割れたらしい音。


被害の輪が広がり、やがて遠ざかっていった。



俺の気管はまだひりひりして、呼吸の際に笛の様な音が鳴る。






「……大丈夫だった?」


実際のところあんまだいじょぶく無いっス。


久遠先輩が首に残る血が滲む爪痕を指でなぞった。



『はい。……ありがとうございました』



指がくすぐったくて、思わず体を退いてしまった。
 あ、心配してくれてたのに……


久遠先輩が気を悪くしないよう、その動きの延長でガラステーブルに置いてあるアイスコーヒーを手に取った。



苦い液体が喉を滑る。

酸欠でほてった体に、食道の形が真っ直ぐとひんやり浮き上がった。
胃に落ちる冷たさが染みるくらいに心地よかった。

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