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極楽蝶華
怖いよ、お前。
 

横に立つでかい影。


見上げると琉崎がいつの間にか目の前に。


「……極楽蝶にいる知り合いって、誰だ?」

『わっ……』



軽く胸倉を掴まれた後肩を突き飛ばされて、ソファに倒れ込んだ。


―ギシィッ―


身体の下で軋んだ悲鳴が上がって、上に琉崎がのしかかって来た。

革張りのソファの表面がすれてぎちぎちと音を立てる。



睨みを効かせて凄んでくる、目の前の双眸。
俺に影を落とす長身。

コイツから香るのは、強いニコチンの残り香。未成年だろう、という酷く常識的なツッコミが頭の中に浮かんだ。
そんなこと考えてる暇じゃないのに。

ヤバイ。突き倒されたときにカツラずれてないかな。
なんてまた冷静に考えてる自分もいた。



片手で首を押さえられてるだけなのに動けない。
……腕力が違う、んだな。残念なお知らせだが。



「……言え。」


あんたが、あんたが、な。

俺の気管を思いっきりギリギリ締めてるだろ?
校門でもやっただろ?わかんないかなぁ。人間は首絞められながら喋るなんて機能形態的に無理なこと出来ない、って。




『……げぅ゙、……っあ゙』


頭……頭、に、血が集まって膨張する感覚。

ヤバ、もう・・・本気視界が黒く――――


『……っ』



爪を立てても引っ掻いても足をばたつかせても手はどいてくれる気配を見せない。

そのうち、まぶたを閉じていないのに目の前が真っ黒に塗りつぶされていく感覚を味わって、本格的に生命の危機に瀕していることを悟った。


やべぇ、何コイツ、極楽蝶のメンバー……名前言わないだけでこんな、ブチギレ・・・・・・・・・・・・・・


「……わっ…!…何……」

ブラックアウト寸前琉崎が俺の上から飛び退いた。
半ば、パニくった感じに。

「……熱……っ!!」

背中からワイシャツを必死に離そうとして
ついにボタンを引きちぎってワイシャツを脱いだ。
 引き締まった背中が一面赤く……熱を持っていた。


『……がはっ、は、……』


咳き込んで顔を上げると、ソファの背越しにティーカップを持った久遠先輩……

……って
  顔恐っっ!!




「大丈夫?」

咳き込んでる俺の背中をすごい優しく撫でてくれて、なんとかかんとか気管も落ち着いてきた。

『……なんとか。』

命が助かっただけで。


「……何されたの?」



声のトーンが……恐いです先輩。
先輩こそ今何しました?

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