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極楽蝶華
……どうしよう
 

少しだけ眉根を潜め、長い睫毛で縁取られた大きな目を開けたまま、



その華奢で綺麗な生きものは大粒の涙をポロポロ零して声も上げずに泣き始めた。


半開きのまま歪んだ唇が、ふるふると震えながら吐息と小さな嗚咽を漏らしている。



あぁ……どうしよう



どうしたら泣き止んでくれる?



激しい後悔と自責の念が自分を襲ってきた。



……ほんとに……


……どうしよう…





こんなに泣いている姿も愛らしい。





痛々しい泣き顔に、
思わず抱き締めていた。



腕の中で少し抵抗されて……それに構わず、腕の中に閉じ込めた。


ごめん……

ごめん……


『ごめん……』



腕の中の抵抗が止んで

腕の中の子が、少し顔を上げた。

ゆっくり手を解き、……胸に小さい罪悪感を覚えながら顔を覗き込んだ。



しばらく焦点が合わずに視線が泳いだ後、いきなり耳まで赤くして顔を背けられて。

果たして、この子は、こんな反応されると男がもっと君の事をぎゅうっと抱きしめたくなるのを知ってるのだろうか。


……濡れる瞼の上に、口付けたい。
抱き締めて、腕の中から逃がさないで



泣く暇なんか無いくらいに、キスして
泣き声も……塞いで、
全部閉じ込めたい。



さっきも思ったけど……一挙一動が、可愛い。

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