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極楽蝶華
迷子
 


ビルの清掃のバイト帰りに小さい子の泣き声が聞こえて、思わず辺りをキョロキョロと見回した。

声の元に顔を向けると4歳くらいの金髪の男の子がぐずりながら父親を呼んでいる。
言葉が通じないらしく傍にいる警官が狼狽えていた。

「Daddy……」

目が合うと駆け寄って来て……ぎゅう、と抱き着いて俺の制服の裾をその小さい手に握りしめている。

その後ろから警官もこちらに近寄って来た。


「お兄さん??」
「いえ違います。」


こんな天使と一括りにしてくれるな。少年に失礼だろーが。
どう見たら血縁に見えるんだよ。



警官は訝しげな顔をしてこちらを見てきた。
何だよ。別に怪しくねーよ。
目があったら近寄られて抱き着かれただけだって。


警官が恐いらしく男の子は俺の学ランの端を引っ張って縮こまっている。発音からして恐らく英国人だろう。

『What happened??Where is your daddy,boy?』
(どうしたの?お父さんは何処?)


男の子の顔がぱっと明るくなった。言葉の通じない異国で父親とはぐれ恐かったのだろう。

警官に預けて帰ろうとしたら服の端を引っ張られ、涙を浮かべた眼で見上げられて
「バイバイ」とは言えなくなってしまった。
更に話を聞くと、泊まっていたホテルを勝手に抜け出して来ていることも分かって。

 あまり期待をしていなかったが、連絡先も泊まっているホテルも分からないらしい。

『Who does yor father work for?』
(お父さんの勤めてる会社は?)

「My daddy's company is Todo Corporation!」
(お父さんの会社は藤堂財閥だよ!)

少し目を開いて、苦笑した。やはり母国語といえど幼い子は文法を間違ったりするんだな。
今のじゃ会社が父親の持ち物になっちまう。

面倒見が良い(お節介な)性格もあってその子の父親の会社まで送っていくことにした。
わざわざ警察を巻き込んで騒ぎを大きくする事もないだろう。

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