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極楽蝶華
邪魔者
―プルルルルル―


規則的な呼吸音しか聞こえなかった部屋に無機質な電子音が響いた。


『……チッ……』


ディスプレイに表示された名前を見て舌を打つ。


―ピッ―

『なんだよ……』

「なんだ、じゃ無ぇよ。テメェ生徒会長が何遅れてんだよ。」


……既にキレてるな。


時計に目やると集合時間から20分程過ぎている。


確かに待たせはしたが……この程度で黒い方の奈緒が顔を出すのは珍しい。



『急用が出来た。違う日にしてくんねぇ?』

「……オマエ前回もそう言ってすっぽかしただろ。夏休み前の行事も近づいてんだから今日こそ顔出せ。」

『……じゃあ放課後行く。時間ずらしてくれ。』

「ふ ざ け ん な。
 僕は放課後やることがあるんだけど。今来い。」

『じゃあ文句言わねぇから俺抜きで決めといてくれよ。』 
「黙れ。さっさと来い。」


―プッ―


ガチャ切りされた。

『……チッ』



ケータイをたたんで胸ポケットに仕舞い、しょうが無く寝室を後にする。


身支度を整えて出て行く際――



外から扉に鍵を架けた。



昼にまた戻って来て……

話をするんだ。今度こそ。



いきなり抱き着いて、押し倒して、噛み付いて……

そんな事しか出来なかった自分が、幼稚通り越して馬鹿としか思えなかった。

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あきゅろす。
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