極楽蝶華 5 俺の正面に琉崎が歩いて来る。 覚悟を決めて視界に入ってきた長い脚に沿って、そろそろと顔を上げて俺の前の長身を見上げた。 嫌な……こう、悪い笑み、をしている。 ……バレ、て無い……よな?!バレて無いよね?! どうかそうでありますように!!(←希望的観測) 息を切らす俺を横目に、どこかへと行こうとする長身。 追い掛けようと走りだすと琉崎が振り向いた。 「そこ。」 『へ?』 琉崎が顎でしゃくる先にはかなり金かけただろー的な5階建ての縦にも横にも長い建物。 門から見上げて木立の向こうに見えたバロック調の白い城だった。 「そこ、管理棟。理事長室は最上階。廊下端から端まで歩けばみつかるだろ。」 管理棟〜??これがか? ……まったこの金かけやがって。学校管理するのに何をこんなに必要なんだよ。 そして城である必要がどこにあるどこに。 『はぁ。』 つか連れてってくれねぇのかよ。不案内だなぁ。 俺が遭難したらどうすんだよ。 「それと」 『はい?』 まだあんのかよ。 「生徒会室も同じ階。見とけ。放課後忘れんなよ。」 ・・・・・・は? もう喋ること無くね?別に。口止めか? 『別に貴方が族のヘッドやってるとかバラしたりしませんよ……』 敵にしたくないし。 めんどくさいし。(←本音) 「ちげぇ。とにかく来い。……わかったな。 言っただろ。来なかったらシメる。」 疑問じゃなくて確定系な口調で命令する……あの、俺様な態度。 行ったとしてもシメられるか、限りなくシメるにニアリーイコールなことをされそうな予感がするのは俺だけ? ……もういい。考えたくない。 理事長室行こ。 取り敢えず血縁であろう理事長が常識ある人であることを祈ろう。 ……贅沢は言わないから。せめて初対面の相手の首締めない程度には。 [*前へ][次へ#] [戻る] |