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極楽蝶華
虚無感
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―ガチャッ―






まだ誰もいない三階の廊下に、怠そうな表情をしたこの学園のトップが現れた。


不機嫌さを隠そうともしない。


今閉まった扉の向こうからは、細く啜り泣く声が聞こえている。
数分前の修羅場が容易に想像出来よう。




むしゃくしゃしたように頭を5本の指の腹で掻いて、顔にかかる前髪の間から視線を投げ出した。





……昨日はあいつを見失ってから夜中まで……それこそ学校中、管理されてる限りの生徒のファイルまで、もう思い付くモノは全て手当たり次第に探したのに、とうとう見つからなくて。


この学園はそうそう何回も忍び込めるようなセキュリティじゃない。まず間違いなくここの生徒だろう。
……それだけは確かだ。


だとすれば、ネクタイの色から1年、なんだろうけど……


調べるだけ調べて何件か情報が入ったが、ユウの本名すら判らない。
……ユウ、と名前を知ってる奴さえいなかった。



怒りと苛立ちにまかせて前から自分に纏わり付いて来ていた1年の部屋に行き、身代わりの行為を


いきなりの訪問に歓喜した名前すら覚えてなかった相手。


そのまま部屋に入って押し倒して突っ込んじまおうとしたが勃たなくて。


ユウを思い浮かべて無理矢理突っ込んだが、結局こちらは最後までイケなくて……考えるのは、ユウの事ばかりで、……目をつぶった行為の最中にも何度もその名前を呼んだ。



分かっていたんだ。代わりなんかじゃ駄目だって。

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