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極楽蝶華
由来
 



「そのマスター・・・・ともちーはね、」


少し考えを巡らしていると、カゴメさんが口を開いた。同じ様にともちーとか言うマスターに関して思考をしていた兄貴達含めた数人も顔を上げる。


「ユウちゃんやあっちゃんと同じチームの先輩で、はるちゃんのお友達でもあるのよ。
見た目ちょっといかついけど子煩悩なお父さんよ。」


その言葉を聞いて自分も含めた数人がそれまでの思考をやめた。
なんだ結婚してるのか。そして悠臣さんと繋がりがあることをわざわざ強調するからには裏で組んでやってるんだろうな。敦さんみたいに。
カゴメさんの気配りで兄貴以外の気が晴れてスッキリしたところで、榊さん達もまた元のようにカタログに視線を戻した。



俺はどうしようかな。悠紀仁さんとお揃いはできないとしてもカウンター奥にかかってる見本らしいデニム達を見る限りこの店主の趣味はかなり俺好みなんだけど。


特に金は足りないという事はないし、多分注文になるから・・・・取りに来るときに俺の知らない悠紀仁さんの話を色々聞けるかもしれないし。


先輩達が見終わったらしいカタログを手にとって、カゴメさんの向かいに腰を下ろした。

見れば見るほど残念な格好をした男前が俺に微笑みかけてくる。


『俺も頼んでいいですか?』

「えぇ、どうぞ。」


少し目を細めて綺麗に笑ったカゴメさんに、機を逃して言い損ねていた言葉を口から紡いだ。


『・・・・・・さっきは失礼な態度しか取れなくて申し訳ありませんでした。その、――』
「分かってるわよ。確かに私も面白がってからかってる所があるし。
・・・・だってユウちゃんの連れて来る子からかうと面白いんだもの実際。ライちゃんもそうだったけど。」



思い出したように小さく笑い声を漏らしたカゴメさん。
また違和感を覚え、さっきも気になったことを尋ねてみた。

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あきゅろす。
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