極楽蝶華
収束
この店にやってきてもうすぐ1時間。
今はもう最初のピリピリムードもすっかり消えて、熱心にカタログにかぶりつく榊さん達を除いてまったり談話タイムになっている。
ぼーっと、前屈みになっている悠紀仁さんのお尻を見ながらあることを思い付いた。
『カゴメさん。』
「あら、なぁに?」
みんなが覗き込むフォトアルバムを改めて見た。
見開きに12枚ずつ、ジーンズの裏表を写した写真が6セットずつ入っている。
『そのカタログ、見た所今までの注文された商品のサンプル写真ですか?』
「そうよ。カタログに載せていいって許可をくれた人のだけだけど、オーダーの時の参考に、って載せてあるの。
ページの後半はオーダーに使える私の描いたイラストやグラフィティデザインだけど。」
『・・・・載せてはいないけど、全ての商品の写真は残してある?』
「そう言うのもあるわよ。全部、私の作った作品だから。記録だけは残してあるわ。」
よしっ!
『悠紀仁さん、一昨日悠紀仁さんの部屋に遊びに行った時履いてた蝶々のプリントがしてあったヤツ・・・・ここで作ったんですよね?
俺、同じの作っていいですか?!』
記録が残っているなら、同じものが作れるはず。
悠紀仁さんと、悠紀仁さんと、おそろい!
「まぁ、同じものは作れるけど・・・・」
横からカゴメさんが苦笑しながら口を挟んだ。・・・・何かあるの、か?
「もれなく俺ともお揃いになるぞ。」
頭上から聞こえた台詞に上を仰ぐと、ニヤニヤした獅子緒先輩の視線とかちあった。
『・・・・同じの持ってるんですか。』
「ちげーよ。ペアでデザインしてもらったからな。
染め抜きの柄が俺とユウが並んで繋がるようになってるんだよ。
お前が同じデザイン頼むのはダメ。」
・・・・っ、そんなの、そんなの、超欲しいに決まってるじゃないか!
畜生、一人だけ友達の期間が長いからって・・・・!!
ふと見ると周りもそのペアルックに意義ありありらしい。
・・・・中でも静かに不機嫌になる村上さんが1番怖い。
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