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極楽蝶華

 




「カゴメさん、でしたっけ?」

「そうね。みんなにはそう呼ばれてるわ。」

「俺とコイツ、双子なんですよ。見てわかる通り。」

「あらホント。珍しいわね。こんないい男で双子なんて。」

「身長も体重も同じなんです。違うのは性格だけ。


だからどっちでも同じだし俺じゃなくてこっちにしといてください。」


ふと見ると、たけニィが爽やかにそう言い切って俊ニィの事を押し出していた。


「バッ・・・・!
てんめ、ふざけんな猛っ!」

「オニィチャン、大丈夫。座薬買ってきてあげるから。安心して切れ痔になってきて。」

「テメェがなれよクソヤロウ!」



手の平で思い切りたけニィの頭をはたく俊ニィ。ミニコントを展開している兄達を見ながら厄介事はごめん、と目を逸らす。

カゴメさんとやらがうっすらと上げた唇をさらに吊り上げて、さも楽しそうに喉から笑いを漏らした。
ふと目が合った奈緒さんが、その微笑を絶やさぬまま冷静に対峙する。

相手の反応を見ようとしてか、その笑みを一層深いものにした。



「貴方は女の人みたいに綺麗ね。
そこらのモデルなんかよりずっと整った顔してる。」


カゴメさんがそう言った途端、奈緒さんの背後から一斉に黒いモノが波打って染み出してきた。

・・・・うわぁ、


「ありがとうございます。でも、そう言われるの嫌いなんですよね。
僕、こう見えてもタチなので。」


にっこりとそう言い放つその目は笑っていない。
・・・・奈緒さん、昔からあの女顔のこと言われるとすぐに機嫌悪くなるからなぁ・・・・
面倒な問題に発展しないといいんだけど。


「僕なんかのこと食べると、お腹壊しますよ。
それよりも隣にいる灰色、良かったらどうぞ。なんなら置いていきますので。」


何とも不憫なことに八つ当たりの槍玉に上がったのは春日さんだった。


「お、俺は!・・・・俺も!タチですから!」


物凄い勢いで視線を逸らした春日さんをカゴメさんが面白そうに追い詰める。



「ワタシ、生意気そうな年下のタチのお尻掘るのが趣味なの。って言ったらどうする?」


何をどうする気だ。

至極真っ当なその言葉も言う気になれなかった。だって自分の身が可愛い。
ここでツッコミを入れて俺が突っ込まれたら堪らない。(性的な意味で)

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