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極楽蝶華
第3類接触
 



知り合いであるみたいだしユウちゃん、は悠紀仁さんのことなんだろうけど

ライちゃん、そう呼ばれたのが一瞬誰か解らなかった。


「それと、それと、これは違う。後は俺と同じだけど。」


しばし頭を捻る暇もなく
獅子緒先輩が榊さん、椎名先輩、鈴峰先輩を指差してそう言った。


・・・・では、ライちゃんと言うのは獅子緒先輩のことなんだろうか。

この人に勝手に名付けられたのか、それとも自分でそう名乗ったのか。
どこをどう略してもライ、にはなりそうにない。



獅子、だからライオンから取ったのかなぁなんて考えてたらいつの間にか横に【カゴメさん】が立っていた。

ひっ、

情けない悲鳴を出しそうになったのは飲み込めたが、それでも顔が引き攣るのは隠せず横を見上げた。(どうやら俺より背が高い)


「可愛い顔してるわね。ユウちゃんのお友達?」

『と、友達で、後輩です。中学生です。15歳ですよ。』

遠回しに【手を出したら犯罪】であることを全面に押し出して、何とか逃げようと俺は既に二歩、三歩と後ずさっていた。

「え?ほんと?最近の子は発育いいわねー。」

『ひっ!』



今度こそ、堪え切れずに悲鳴が漏れた。
ぺろん、と触られた尻に全身の毛穴が逆立って背筋が凍る。


やばい

やばい


こんなタッパに育ってからこんなセクハラ受けるの初めてだ。
正直どうしたらいいかわからず半ばパニックになり、本能的に癒しの元である悠紀仁さんの方に足が向かった。
(本能で彼には尻を向けずにカニ歩きで)


『ゆ、悠紀仁さん、』

「ん?どーした透。」



あの人なんなんですか。そう言おうとしてこちらに近付いてきたカゴメさんにビビって慌てて店の壁伝いに兄貴達の方まで逃げ出した。


『・・・・冷や汗かいた・・・・』


俺がケツに悪寒を感じて手の平をじっとりと濡らしている間に、悠紀仁さんは楽しそうにこの店のオーダーの仕方の説明を始めていた。

悠紀仁さんの意識は既にそっちにありましたかそうですか。

悲壮感に耐え切れず抱き着いて頭でも撫でてもらおうと思ったら


『・・・・何すんですか獅子緒先輩。』

「どけ。ユウは俺が今から抱っこすんの。
邪魔。」


俺の首根っこを掴む獅子緒先輩の腕に、悠紀仁さんに手が届く前に遮られてしまった。


『獅子緒先輩学校から駅に行くときずっと膝に乗せてたでしょ。』

「お前こそここに来るまでずっとユウにベタベタしてただろ。」


この歳にしてはずいぶんと体格に恵まれてるとは思うけど。
その自分よりほぼ頭一つ高いところから見下ろして来る双眸を睨み返した。

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