極楽蝶華
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「なんでそこのソイツがよくて俺はダメなんですか!
何で俺はいつも怒られるんですか〜!今日は甘やかしてくれるって言ったじゃないですかぁ!」
「あぁ……ッもう、
そんなんじゃねーよ!」
「じゃあなんなんですか!」
「あちとは違って、透はただの友達だろ!
く、く、口にちゅーとかできるか!」
ゆーにとって俺の1番大きいポストは【従兄弟】
母親同士めっちゃ仲良かったし昔近所に住んでる時期あったし家庭の事情で俺がゆーの家居たりゆーが俺の家居たりした時期あったから兄弟のように育ったと言ってもいいかもしれない。
だからゆーの今の発言に
【お前は友達こいつは親戚】
以上の意味は皆無なのだ。
俺は分かる。
だってのぉ……、ここまで言うとは思わんかったが似た言葉引き出そうとしてたしな。
「そぅ……ですか。」
でも、でもな、この子がここまで傷付いたような顔すると思わんかったんよ。
どうしようか、一人自分の中であたふたしていると
辛そうに顔を伏せて押し黙っていた透君が目ぇいっぱいに涙溜めてゆーの顔を覗き込んだ。
ゆーはゆーで何で透君がこんな表情してるのかを一生懸命探ろうとしている。
ゆーが心配して触れようとした手に溶けたアイスが筋を作った。
「……悠紀仁さん、俺は、好きでいる事だけはやめないでもいいですか?」
真っ直ぐ見つめた透君の瞳がゆーを正面から捉えて。
質問の意味を解りかねたゆーに、透君が悲しそうに唇の端をちょっとだけ上げて笑った。
……涙堪えて熱の篭った声と、潤んだ瞳と、へたり下がった眉と必死に震えるのを押さえてる唇。
見てたら我慢できなくなった。もう無理じゃ。
『あかん……あかんよ、俺こーゆーの、いっちゃん苦手なんよ。
雨の日に捨てられて段ボールに入れられてる子犬に鞭打つような真似出来んわぁ。』
ぱ、とゆーの身体から手も胴体も離して両手を上げて【降参】の体勢を取った。
もう試験は終わりでいいだろう。きっとこの子はこの先ゆーがどんなに鈍感で周りの思いに気付かずヤキモチ妬かせたとしても絶対ゆーには当たらない。
ゆーの背中を押して、ソフトクリームを両手で掴んでる透君の胸に押し込んでやった。
返すよ。ごめんな。君の好きな人じゃけぇの。
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