極楽蝶華
演技演技。
「……悠紀仁さんとどーゆー関係なんですか。」
「だから……聞いてただろお前は。何回従兄弟だと言ったら分かry」
『それは君が勝手に見て理解しとけばええんちゃう?』
言葉を途中で遮られたゆーが少し不遜そうな顔をした。
その後呆れたような表情をしている。
「……何でもないって、それでいいですか?」
『まぁ、それでえーよ。
何にも無いって、信じるのは勝手じゃけぇ。』
「おい、透、ソフトクリーム溶けかかってるぞ。」
相変わらずゆーはまったく空気を読まない。
読めない言った方が正しいか。
他人の感情や傷には驚くほど敏感なのに、それが自分に向けられた好意となると途端に極限まで鈍くなるけぇの。
まぁ、そやから俺やはーさんがこんな回りくどいことしてる訳なんじゃけどな。
「……恋人はいない。本人から聞いてます。
自覚されてないってことは、この場合、俺にも望みがあるって事です。
未来の事だって誰にもわからないでしょう。俺はあんたよりも悠紀仁さんの言葉を信じますから。」
『ほぉ。けったいな自信やなぁ。
……ならゆーの口からはっきり言って貰おか。』
腰に回した手を引き寄せて、透君にも見えるようにゆーの唇の端っこに口付けた。
……いくら従兄弟でも真ん中は無理じゃ。
俺らのちっさい頃は母親同士が可愛いのなんのふざけて俺らにちゅっちゅちゅっちゅさせてたらしいが……物心ついて同性とキスは余程の理由無いと無理。
……あ、はーさんは別っこな。あの人はゆーとのキスは本気で喜んでやってるし。
溺愛しすぎじゃあのお人は。
「……透と険悪になったと思ったら、何だよいきなり。」
『ゆーは俺にキスされても怒らんのな。』
「え?
あぁ、うん、まーな。」
俺らが血縁じゃけぇの。はーさんの刷り込みすげーと思うわマジで。
つーか挨拶でもちゅーはせんよとか誰も教えないあたり周りも周りじゃ思うけどな。
『今みたいに透君がゆーにちゅっちゅしてきたらどーすん?』
「は?ねーよんなこと。」
あっさりはっきりくっきりきっぱり否定された透君が半泣きで反論してきた。
ちょっと可哀相なんだが……。
「な、なんでですか!
俺も悠紀仁さんにちゅっちゅとか色々したいです!」
「す……ッすんなアホッ!!
したらぐーで殴るぞ!思いっきりだからな!」
ゆーは一見怒ったモーションしてるが真っ赤な顔して相手の目ぇ見れずに後ずさってるあたりどっからどう見ても本気で切れてるようには見えんのになぁ。
見えんのじゃけどなぁ。
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