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極楽蝶華

 


気付くと遥か前方にシュン…琉崎の背中が。

慌てて追い掛けると後ろで機械音をたてながら門が閉まった。

がこん。


ってゆうか……全自動?!そして門の上には防犯カメラ?!早く開けてよ俺大分前から熱射病と戦ってたのに!


やっと追い付くと、またこちらを気にせず大股でズンズンズンズン歩いていく。
背の小さい俺はイコールで足も琉崎より短いので、必然的にチョコチョコと小走りするはめになった。


「……おい……」
『何で…しょう…か…』


話聞きたいなら止まれ!!
この状態で喋るとか結構キツイ・・・・!


当然ながら文句を言えるはずもなく。しょうがなくそのまま会話を始めた。


「極楽蝶のトップの名前は?」

……なんなんだ?
でもまぁ、敵対チームのヘッドの顔・名前知っててこれを『知りません』なんて言えないし……


『ユウです……けど。』


「外見は?着てる服も。」



ほんとに何なんだ?こいつ。 



『銀髪、と……薄灰色の眼、黒服、バイク乗る時は濃紺のブーツ……履いてて……』

息が切れてきた……俺持久力無いんだよ……

……頭クラクラする……

最近規則正しい生活送ってたからなぁー体がいかれたのか?(普通逆)
やっぱ、この暑い中湿気を閉じ込めるカツラ被ったまま炎天下の日差しの下突っ立ていたせいだろうか。

「…付いた名称は?」

『……瑠璃鋏羽』


ルリタテハ……黒い服で、いつも履いてた靴底だけ綺麗な青で……蹴るたび、跳ぶたびに走る青いラインと……まるで飛ぶみたいに相手を伸していくんだな、って……

……誰が言ったんだっけ?俺の背中に乱暴な言葉を投げかけた相手は……?
いろんな人から、それこそ知らない人にまで呼ばれて、もういつからそう呼ばれてるのかよく覚えてない。
コイツに似てる、って……そうだ写真……青みを帯びた黒色の地に、鮮やかな青色帯。

確か、仲間のうちの誰かが写真を持って来たんだ。



蝉の声が遠くから湧き上がって、

頭蓋骨の中に、響いた。





「最後だ……ユウの本名は?」



一気に現実に引きずり戻された。……首筋に嫌な汗が流れて、背中の窪みに流れて汗ばんだシャツを更にじっとりと濡らした。


思わず立ち止まり……声が、震える。

『……知ってるわけ、無いじゃないですか。』

なんとかその一言を絞り出し、拳を握り締め、無理やり……掌に感じる脈ごとぐっ、と抑え込めようと力を込めた。
前を見れずに地面に視線が縫い付けられたまま、動かない。



……やば……


俺、嘘付くのめさくさ苦手なんだよね……


バレてねぇかな……?こいつ、嫌に勘鋭そうだからなぁ……クソ。

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あきゅろす。
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