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極楽蝶華

「ところでこれ、誰に噛まれたんだい?
遠慮なくばっくりガブリンといかれちゃってるけど。」

『……素行の悪い野良犬に。』

「嘘だね。この敷地内に野良犬なんて入れない。
第一、これは人間の歯型だ。誰に噛まれたんだい?」

……チッ……

見かけに因らず、中々出来るじゃねぇかこのヤロウ、と
無駄にガン飛ばしてみたり。


『……アンタにゃ関係ねぇ……』

ぎ、と睨み付けたらやれやれとでも言った風に顔を逸らされた。


そうだ。コイツにゃ関係ないけど、後で灰斗には何があったか話さねぇと……


ぼやけた頭でそう考えてたら、また肩を叩かれて校医の方に向き直させられた。

『何だ……アンタまだいたの。』

「うわ……可愛いのに毒舌。」

『可愛いくねぇ。それより何。』


「熱出てるから、解熱剤と抗生物質。あと栄養剤。」


ぷきぷき、と銀色のシートから押し出される丸こい粒を目で追う。


「はい、これ処方ね。」



言った途端、それを自分の口へ放り込む校医。

何やってんだ?


呆気に取られてると、ごく自然な動作で顔が近づいて来て……



ごく自然に口付けられた。


『んぅぅぅううっ?!』


当たり前の様に入って来た舌に、ぐにぐに、と咥内を蹂躙された後喉の奥に固形物が落とされる。

一旦離れた口が、ベッドサイドのテーブルに置かれたペットボトルから中身のスポーツドリンクを含んでまた口付けてくる。



『んん、んぅ、ぅう……』



ごくん、と喉が鳴って薬を飲み込んだ後も遠慮無く掻き回されてる口ん中がぐちょぐちょ音を鳴らした。

熱で痛みまくってる関節と怠い体は抵抗の為の俺の命令を聞いてくれない。



「な……に、やってるんですか斎(イツキ)先生!!」


いきなりの事に呆然として、やっとフリーズが解けた高裏さんが慌てて校医を引きはがす。

口から、つぅ、っと唾液が糸を引いた。



『……何すんだテメー……』


未だ息の上がった顔で睨み付ける。


「役得役得♪」

役得、って何がだよ。


寧ろ俺にキストカ罰ゲームの類だろ何考えてんだよ馬鹿じゃねぇーのコイツ。


「容体が変わったらすぐ医務室に連絡寄越せよ。
今夜の当直俺だから。君の為ならすぐ来てあげる。」
は右から左へと耳の穴を通過させておいた。


……ちっくしょう回復したらコイツ琉崎の次にシメに行ったる……

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あきゅろす。
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