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極楽蝶華

 

「ねーねー、何してんの?」


勉強はどーか知らねぇが、人間として頭悪そうな3人組。……うっせー。
一応先輩らしいが尊敬の念など一欠片も湧かないような奴らだな……



『……エレベーター待ってるだけだよ。具合悪いからほっといてくんない?』


なるべく面倒臭そうに答えてやった。


のに。

「えーじゃあ俺らが部屋まで付いていってあげようか?優しくしてあげるよ?」

「一緒に運動したら風邪くらい治るって。な?」



うぜー……

なんだこの不快感。

『結・構・です。……うるせぇーからどっか行きやがれテメェら。』

下から睨み上げる。
が、頭痛の所為で焦点が合わない。



「……ヤッバぃそれ誘ってんの?」
「今から行く?連れてくよ部屋。どこ?」


……何言ってんだコイツら。

『うるせぇ……ょ。ほっとけっつってんだろーが。』 

あーヤバイヤバイ頭痛で気持ち悪くなってきた。

「……なぁ、マジ……俺もう我慢出来ないよ?」

「それ誘ってんだよな?な?」

「……いいよ、もう俺の部屋連れてっちゃおうぜ。」


……こいつらの声が耳に触る。


『……喧嘩?……売るつもりなかったんだけど、なぁー……いいよ?やってやるよ。』



今、俊には勝てないけど正直いくらこの状態でもコイツら程度に負ける気なんかしねぇ〜し。



「……何言ってんの?とりあえず行こうよ。」


地べたに座っている俺に向かって手を伸ばしてきたそいつの腕を掴んで逆にこっちから思い切り引っ張ってやった。

その途中で手を右方向に振り放し、体勢ガタ崩れのとこに足払いかけてやれば簡単にバランス無くして倒れてくる。


向かって右に崩れ落ちるそいつの腹目がけて脚を振り上げ――蛙の泣き声のような潰れた音がして、まず一人目が沈んだ。 


拍子抜けしてるのか、事態を飲み込めてない左側の馬鹿――
 両手を地面に付いて、体を浮かす。上半身を捻って、その威力を伸ばした左足に伝えて相手の脚を大きく凪ぎ払った。


そのまま後ろを向き、低い態勢から3人目の膝目がけて回し蹴りを放つ。



うまいこと倒れてきたので、3人目と2人目が重なったところで思いきり踵を打ち下ろした。

『……ふぅ。』

先程から一度も立たないまま、3人が伸された……

また、気怠そうに壁に寄り掛かりエレベーターを待ちはじめる。


―ポーン―



『あ、来た来た。』

転がる屍のアフターケアを気にせず扉が閉まった。

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