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極楽蝶華
触れた体温
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『……ユウ……?』

突然、腕の中のユウが脱力したように崩れ落ちそうになる。


『……、おいっ……!』

肩に腕を回して何とか抱きとめた。

「……つぅ、……」

右肩にある噛み傷が痛んだらしく、顔が歪む。


悲痛な声が形の良い紅い唇から漏れた。


『……ごめん。』



さっきは嫉妬に我を忘れて手加減をし損なった――


いや、どこか意図的にしなかったのかもしれない。


――とりあえずユウの体には俺の跡が3つ残っている。



虚ろな目をして宙を見つめていたユウに、もう一度口付けた。



「――っ、」


唇が触れた瞬間に、体中がバネになったかの様に跳ねて腕の中から逃げられた。



『――おい、待てよ―っ』

今、唇が触れたとき……体は冷えていたのに、上気した顔だけ――凄い熱かった。
――熱がある。おそらくさっき水に落ちて、濡れたからだで冷房の効いた中を動き回ってた所為だ。





……次に腕を伸ばした時よりも速く、走り出して行く


追い掛けるよりも遥かに先を行く銀色……




二階の窓から踊り出て、まるで質量なんか無いみたいに地面に降り立つ。


――あの時と一緒だ。


また手を擦り抜けて逃げて行ってしまう。




でも……今度は逃がさない


捜し出して……。





絶対に、放さない。

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