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極楽蝶華

「……やっと、捕まえた……ユウ……」


耳元で甘ったるい低音が響いた。



『……なせっ…放せっ!!』


――濡れたシャツ越しに、コイツの体温が伝わってくる。

それとは反対に、俺の四肢は濡れた肌を経由にどんどん熱を大気中に手放してしまっている。



俺を掴む腕が半端無く熱い。

――俺、こっから溶けちゃうんじゃないの? ――


そんな事が浮かんだ。頭が少しぼーっとして……思考が緩慢になる。



これは、傷の所為もあるけど……昨日クーラーの効いた部屋の中で、風呂上がりに頭乾かさないで一時間もゲームやってたのも悪いんだろうな。


今朝からちょっと体調悪かったけど何もこんなときに一気にでてくんなよー
風邪の諸症状。


……さっき水に落ちて体冷えたからかな。
やっぱ夏でも駄目だよね。


……あれ、俺……
 脚に力入ってないのに、何で立ってられるんだろう。

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