極楽蝶華
2
「シカトこくんじゃねぇ」
や、シカトだなんて滅相も無い……
ただ貴方の殺気に当てられて言葉を失ってただけですから本当に。
そんでもって嫌な未来想像しちゃってげんなりしてどうやって言い逃れしようか考えてただけですから。
なんだよもうこの前見かけた時より更に刺々しくなってるぞ。
首に開いてた右手がかかり、遠慮も躊躇も執行猶予も無しにはなからMAXでギリギリ気管を締め上げられた。
……っ、うわぁー
痛い痛いちょっとやめてくださいあなた初対面の人の頸動脈いきなり絞めないでくださいほんと。
息が息が息が息が
『人……が、…いっ…まし、……』
「ぁあん?」
いやいやいや。
お前が気管ギリギリ締め付けてくるから声が出ないんだよ(゚д゚;)
『ひ、…と違い、……しまし…たぁ゙っ……』
やっとそれだけ言うと首が自由になる。(だがしかし胸倉は依然捻り上げられたまま)
……ブラックアウト寸前……(泣)
暗くなりかけた視界にお花畑がチラ見えしたのは気のせいだと思いたい。
「正直に言え。何で知ってたんだ?……オイ。」
あーやっぱ無理だよね。
さすがに苦しかったか。
こんな男前(悔しいが)二人といるもんじゃない。
あーあ、こいつに似た顔立ちで[シュン]って名前の芸能人を俺が知ってたらよかったのに。
生憎とそっち方面は疎いからな。
『知り合いが……極楽蝶にいて…話を聞いたか…偶然見かけたような気が……』
これもちょっと苦しいような気がする。
いやちょっとじゃねぇや。
まずこんなオタクに極楽蝶のヤンキーの友人が居るように見えないし。
偶然見かけたにしても名前まで知ってたことをなんて弁明しようか。好奇心からその友人に聞いてみたでいいかな。
今の自分の言葉全撤回して
『いやぁ……僕、実は超能力があるんです。
全宇宙からの意思がメガーネを通じて僕の頭の中に……』
とかイっちゃった奴でも演じてみようかと思っていたら
……たら、
いきなりシュンが詰め寄って来た。
「……本当か?!!」
『ほ、……ほんと…です。けど……』
嫌ぁぁぁぁあああ!!
ばれた?!早速バレタ???!!!!
やややや、やっぱキツイ言い訳・・・・・だった、か?!
何、今回もいきなり頭突きしてくるわけコイツは!!
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!