極楽蝶華
誰がやった?
『……っ、て……』
鳩尾に膝が入って、身体が浮いた。
その隙を突いたようにユウが大きく呼吸をして身体を捻って俺の下から逃げ出す。
「……いきなり、なんなんだテメェーわぁ……昨日と言い、今日と言い……ふざけんなっつぅの」
距離を置いて、改めて見たユウの……さっきは視界に入らなかった、ワイシャツが……
……ボタンが全部飛んだ上に血が飛んでいる。顔にも、腕にも……小さな切り傷が無数にあった。
『……誰にやられたんだよ、これ……』
俺以外の奴が、ユウに触れた……その痕跡が……
全て……憎い。
誰だよ。お前に触れた奴は。
お前にこの痕付けた人間は。
胸が煮えくり返るくらい激昂していたが、一方で不思議と冷静な自分が自分の事を分析していた。
俺がこんな激しい感情を一人の人間に対して抱いたのは初めてだろーな。
……自分絡みの事を含め。
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