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極楽蝶華
話、は
 


「さて。
悠紀仁様の話だったね。……人に聞かれたく無いものだから談話室で、と言う訳にはいかないので私の部屋まで来てくれるか?」

『いや……移動時間がもったいねぇ。
自習室でいいだろ。
あそこはお誂え向きに防音だ。……それに、鍵もかかる。』


「いいだろう。」


俺を一瞥した村上がエレベーターホールを無視して階段へと足を向けた。

2階にある自習室は……図書室の奥、24の個室がある。

期末テストも終わったばかりだし、空きならいくらでもあるだろう。


コイツのテリトリーに入れられる事が気に食わなかったし、何より悠紀仁の事に関して話すのに本気で待つ時間が取れなかったのでそう提案をしてみた。

上に行くよりこっちのが速い。



もう大分遅いので図書室には誰も居なかったが、まだ何人かの物好きは自習室に篭って勉強しているらしい。

高校の勉強程度一回やれば覚えるだろ。
要領悪いんだな。


受付で鍵を受け取って先に立って歩く村上の後ろを付いて行った。


【使用中】の札の掛かっていない個室の前で立ち止まる。
部屋番号の下の【空室】の札をひっくり返して中に入った。


狭い室内、確か4畳半だったか。
調べ物と聴覚教材用のパソコンが乗った机とパイプ椅子が1脚、もう余裕なんかなさそうだが、世の中にはこのスペースで衣食住行ってる人間もいるから不思議だ。
しかも同じ日本人で。


「……貴様、この前悠紀仁様を守る為なら共同戦線を張ることも辞さない……そう言ったな?」

『あぁ。』


俺ぁそんな軍人みてぇな言葉は使わねーけどな。


『……悠紀仁の事で何かマズイ事でも起きたのか?』

今日あった獅子緒のヤロー絡み以外でとか?

それが、さっき悠紀仁が……めちゃくちゃ可愛い表情になってたのと関係してんのか?

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あきゅろす。
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