極楽蝶華
自分の失敗が不明
「……ッは、ぁ、……はぁ……」
長いキスの後、唇を離すと間に糸が引いた。
熱い、熔けそうな吐息が唇から漏れている。
まだ虚ろな目で私を見上げる悠紀仁様の瞳に焦点を合わせたまま……正しくは、目を反らせないまま……唾液で顎まで濡らした悠紀仁様に舌を這わせた。
「隆也さんっ……」
『何ですか?』
なるべく、普通を装って笑ったつもりだった。
「隆也さん、は……いじわる、です……」
とうとう、涙を零した悠紀仁様に、自分の無礼を探した。
先ほどまでの口付けは、いやしかし悠紀仁様から求められた事だし。
それとも、キスの内容が好まれなかったのか。
やはり舌を搦め取ってこちらの口の中で甘噛みはまずかったのだろうか。
言い咎められることが判らず、答えを求めて目の前の淡灰色の瞳を……なるべく、今までかつてないほど動揺している感情が表に出ないように覗き込んだ。
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