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極楽蝶華

 

走り出してすぐに、予想外のスピードで距離を詰めてきた琉崎に腕を掴まれた。
いきなり。


走っていた勢いが片側で止められて、残った勢いが相殺し切れずにバランスを崩して倒れる。


――手をつこうとしたが、下は水だった――



ホラ学校に噴水なんか作るからぁっ!!


突然かかった二人分の体重を支えきれずに琉崎も巻き込んで水の中に倒れ込んだ。


――激しい水音が立って、噴水形なし程度に水しぶきが上がった。

『……っ、が……』

仰向けで水の中に倒れこんだので、気管に水が逆流して……


『……だぁぁぁああ!!……っふぅ、……はぁ、ゲホッ……はっ……。』

辛うじて膝と腕をついている琉崎の首に腕を回して体を起こし、水面から顔を出した。
都合抱きつく形になっちまってるのは、気にしない。今は呼吸ができるか否かの方が大事。


酸素を貪るように咳き込みながら肩を上下させて、やっとまともに空気を吸い込めるようになった頃。



いきなり押し倒された。

――また水の中に。


自分の体重を支えるようについていた肘は突然の事に、加重を耐え切れずに体の下から簡単に外れてしまって。


『……んんっ!!』


挙句水中で口を塞がれた


……琉崎の唇で。



また噛む気かなんならテメェがやる前にこっちが先に噛み付いてやるよコノヤロー

って思ってがっ、と歯を立てる準備して身構えた
瞬間に大量の水と一緒に舌が俺の口ん中に侵入。


『……ん……、ぐ、…………っ、ゔぅ゙……』


起き上がろうとするともっと深く口付けられて、また水中へと押し戻されるって言う悪循環。


『……っ…ふぐ、ぅ……』


息が苦しくなって思わず、手近にあった人物の口を経由して思い切り空気を奪い取ってしまった。

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あきゅろす。
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