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極楽蝶華
指定席、らしい。
 

椅子が一つしか無いので、悠紀仁様が開放された所で自分の座る分を借りてこようとして……

シャツの袖を引っ張られて置いてあったパイプ椅子に座らされた。


『え?』


……この方はまた、年功序列とかを気になされてらっしゃるのだろうか。


悠紀仁様に足労願うわけにはいきません、と言おうとして……


……ごく普通に膝の上に悠紀仁様が座られた。



『え……あ、の、……悠紀仁様?』

「ユ……ユウッ!!何で村上の膝の上乗るのッ?!!
椅子無いなら持って来させればいいじゃん!!」

「え、だって隆也さんの膝の上気持ちいいんだよ?
それに乗っていい、とは許可貰ってるし。」


……ッ確かに言いましたけどッツ!!


『あの…………』

「あ……隆也さん、やっぱ嫌ですか……?」



『……いえ、悠紀仁様が私の事を居心地が良い、と思ってくださるなら光栄です。
……私も悠紀仁様の事を膝の上に乗せるのは好きですよ?』

「ホントですか?
じゃあ隆也さんの膝の上俺の指定席〜ッ」


……まぁ、私の精神に多少の負担はかけるが……
……幸福だからいいか。


「ユッ……ユウのひざ枕は俺のだからな!!」

『私が悠紀仁様にそんな事頼むわけ無いだろう。
……お前じゃあるまいし。』


「いーからひざ枕は俺のだからなッ!!」

『そんな大声を出すな……うるさいよ獅子緒。』

「レオ隆也さん困らせんなよ〜」


ぺしぺし、と額を平手で軽く撫でられながら獅子緒はかなりの不満顔だ。


……少しは報復が出来たか。

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